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院長ブログ

スコットランドゴルフ

昨年5月、長年の夢であった、スコットランドの全英オープン開催コース5コースを回る機会に恵まれた。

 

成田からヒースロー空港まで10時間、多少の疲労感と緊張感があったが、それもバーミンガム行きのローカルフライトに乗り換えると、おばちゃん達のスコットランド訛りの明るい井戸端会議のにぎやかさで、思わずほほ笑みが沸いた。
ホテルは、絵本に出てくるような、可愛いクラシックメルヘン調外観で、内部は、落ち着いた重厚な作りであった。
食事は噂とは異なり、とても美味しかった。

 

さて、初日は、昨年の全英オープン開催のロイヤルトゥルーン。
あいにく、雨交じりの強風と寒さ、しかしそれでも、建設中のジ.オープンの看板やスタンドを目にすると、嬉しくってワクワク。
初めて経験するポットバンカーや、パターでしか寄せようがない複雑なグリーンと回りのアプローチの傾斜も、とても新鮮な驚きで、ある意味、今まで経験したゴルフとは異なる楽しさがそこにはあった。

 

2日目は、全英オープン発祥の地、プレストウイック。
1860年の初回から12回までオープンが開催された。
そこには、まさにリンクスの原点があった。
人力しかない時代の造成であるから、当然リンクスの起伏そのままで、何処へ打つのか全く分からないホールが幾つもあった。
キャディーの言うまま狙うが、疑心暗鬼で打った打球の行方は「ボールに聞いて。」素晴らしい発見もあった。
フェアーウエイ脇にウサギの小さな穴、そう、それがゴルフをゲームたらしめた程よい大きさのカップになったのである。
ピーターラビットのお手柄である。

 

3日目は、昨年の全英シニアオープン開催の超難関カーネスティ。
不思議なことに、ここには、コースのハウス以外に、小さなクラブハウスが道路の向こうに2つ立っていた。
他にもあったかもしれない。というのは、その一つに食事に入ったが、中に数多くのいろんな形の歴代の優勝者名入りのカップが展示してあった。
聞くともう一つのハウスにもあるという。要は、一つのコースに複数のクラブが存在しているということらしい。
昔の、階級制の名残りだろうか。
ここはフェスキューのラフが一番きつかった。入ったらほとんど発見できない。見つかってもバックスイングさえまともにできない。

 

4日目は、なんとミュアフィールド。
最古のゴルフクラブ、世界のゴルフコースランキング3位、オーガスタと並んで最も格式が高くメンバー入会が超困難、火、木のみビジターに8、9組程度しか解放されないため世界中からプレー申し込みがあり、1年以上待ってもプレイ困難等々の逸話にあふれる。
ところが偶然、キャンセル発生で、ツアー会社の努力もあり、プレー可能に。予約してあった他コースより急遽変更。
ジャケットネクタイ必須のドレスコードに従い、デパートで支度し入場。
アウトイン並列で行って来い、の他リンクスと異なり外回り内回りのレイアウト、その為、各ホールの強い風の向きが微妙に変わってきて、判断を狂わせる。
見渡しは良く広めのフェアウエイ、小さく深いポットバンカー、グリーンは小さく、カップに近づくほどプレッシャーがかかる。

 

四苦八苦で終わったコースそのものより、とても印象に残ったのが、ダイニングである。やや狭めの英国アンテーィク調の部屋。
ビュッフェスタイルで前菜からデザートまで素晴らしく美味しい。
秀逸なローストビーフのおかげで、コクのあるブラウンビールが度を越した。
それよりも、スタッフの皆さんの笑顔、フレンドリーな、しかも完璧なサービス振りが素晴らしかった。
ところでここは、メンバーの1/3がゴルフをプレーしないという、社交クラブでもある。
昔、フリーメイソンの定例会議でも開いていた名残りなのだろうか。

 

最終日は、セントアンドリュースオールドコース。TVで何度も見たあの場所に立った時の胸の高鳴りは言うまでもない。
天候は、我々を歓迎するかのように穏やか。
ハンディを伝えると快くバックティーが許可された。
一番と18番は広大なフェアーウエイでストレスは無いが、多くのホールで低いうねりがが視界を塞ぐ。

 

キャディーの指示が頼りだが、訛りが強くて聞きずらかった。
3番がサードでなくセアードという具合である。アウトインが同じグリーンだったりフェアーウエイが交差したりティーグラウンドに立って見渡すとあちこちに5.6組のプレーヤーがゴチャゴチャ入り交ざって見えたりと、未体験シーンがつづく。
それでも、意外なことにスコアは他のコースより良かった。同伴者も同じ傾向であった。
穏やかな天候のおかげだったかもしれない。名所で記念写真を撮りながらのラウンドも終盤になり、17番の有名なオールドコースホテルが見えてきたときに、同伴者から「もう最後ですね。」の一言。直後に目から涙が噴き出てきた。
ホールアウトしてもなお嗚咽が止まらない。もちろんゴルファー人生、初めての出来事であった。

 

ゴルフというスポーツの原点を見た経験は、今後の自分のゴルフにどんな影響を与え続けるのだろうか。