ファーストビュー画像

メディア掲載

肛門手術の麻酔について

患者さんが楽に手術を受けるためには、麻酔がとても重要な役割を担います。
患者さんの状況に応じて適切な麻酔方法が選択されますが、どのような方法で麻酔を行うのでしょうか。

 

急に肛門痛が起こり小豆大のしこりができているのは外痔核です。
これは外側に血液の塊ができたもので、小さいものは薬で治療できますが、大きいものは切開して血液を取り除いた方が早く治ります。
これは患部付近に直接注射して麻酔を行います。
当院では、まず表面麻酔を行い、皮膚知覚を麻痺させた上、痛みに有効なツボ刺激を併用しつつ、極細針で注射します。
以前は、「痛いー!」という声が瞬間診療室に響きましたが、最近は、ほとんど聞こえません。

 

いぼ痔と呼ばれ、排便時にポタポタと出血する内痔核、膿のトンネルができる痔ろう、排便時に激痛を伴う切れ痔などの手術の場合は、腰椎麻酔か仙骨麻酔を行います。
まず、腰椎麻酔は、座位で腰の脊椎の間に、27ゲージという細い針を使い 注射します。
背中は、体で一番鈍感な場所ですのでチクッとする程度の痛みで済みます。
この麻酔は効果が早く確実で、持続時間も長く患者さんが楽なので、最も多く使用します。

 

仙骨麻酔は、うつ伏せになり、肛門より7cmほど上にある、仙骨の隙間から麻酔薬を注入する方法で、約20分程で効き始めます。
この方法は、、麻痺する範囲が狭いので術後の歩行ができ、飲食もすぐできますので日帰り手術に多く利用します。
また、40歳以下の方には、腰椎麻酔でなくこれを選択します。

 

全身麻酔もありますが、安全面、コストの面などで問題があり、また、覚醒直後から痛みが発生しますので、患者さんにとって利点は、少ないと思っております。