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高齢者の肛門病

加齢とともに、骨盤内の筋肉や支持組織が、弱くなりやすくなります。
その為、徐々に、いろんな症状が現れてきます。
初発症状は、咳やくしゃみのときの尿漏れやオナラで、「あれっ」と気づくのが多いようです。
特に、女性の方は、お産時に膣や直腸肛門の筋肉を傷つけることがあり、男性よりも症状が出やすいようです。
この段階であれば、肛門を閉めたり緩めたりする運動を2,30回朝昼夜行う習慣をつけることによりかなり改善します。

 

もっと進むと、肛門の粘膜が外に出たり、以前からのいぼ痔が外に出っぱなしになったりします。
そうなると粘液や便汁で下着が汚れたり、柔らかい便が漏れたりします。
この段階になりますと、何らかの外科的処置が必要となります。
ただし、病状によっては、完全に治すことができず、改善状態に留まることもあります。

 

筋肉の収縮力がほとんど無くなると、粘膜のみならず、直腸全体が手拳大程の固まりとして肛門の外に出ます。
これは、直腸脱という状態で、治療には、必ず手術が必要になります。
程度により、全身麻酔で行うこともありますが、ほとんどが高齢者で体力の無い方が多いのでリスクを伴います。
その為、最近、完全に治す方法ではありませんが、脱出部注射と伸縮リングを入れる方法を合わせ行う手術が開発されました。
これですと、入院期間も短くて済みます。最近は、各地の肛門専門施設でこの方法が試みられています。当院でもこの手術で良い結果を得ております。

 

もっとも進行すると、直腸、子宮、膀胱がすべて脱出します。
この場合は、外科、婦人科、泌尿器科の連携治療が必要となりますので、その体制が整っている病院を受診してください。